何をするでもなく、何かを考えるわけでもなく、黒焦げになったその部屋を見つめていた。

ふと、後ろから砂利道を歩く足音がした。



「何してんの、こんなとこで」

「……」

「てか、俺の事覚えてる?お前の前では自己紹介してなかったっけ?桐谷燈でーす」



誰かと思えば暴走族の連中だった。

そいつは俺の隣に並んで勝手に自己紹介を始めた。

……冷やかしに来たのなら殴ってやる。



「ここ、火事があったんだって?仲間が当日野次馬やばかったって言ってた」

「亡くなったのは母さんと妹だ」



横に並んでたそいつは、しばらく黙り込むと俺の顔を覗いてきた。





「……自殺?」





その言葉の意味を理解して、俺はようやくそいつて視線を合わせた。

桐谷はいつものにやけたツラはしてなかった。