それからの記憶はほとんど覚えていなくて、火葬が終わった後、2人の骨壷を抱えながらふらふら道を歩いていた。

暑いはずなのに汗が出ない。悲しいはずなのに涙もない。

すると、すれ違った黒い車が止まって中から人が出てきた。



「快!」



現れたのは永遠だった。

あれだけ好きだったのに、永遠を見た瞬間、込み上げた感情は怒りだった。



「お母さんと晴ちゃんが亡くなったって聞いて……」

「……」

「頼れる人はいるの?
もしいないなら……快がいいなら、荒瀬組に来て」

「黙れよ」

「………え…」

「もう、俺に関わるな」



親がヤクザでも子どもは関係ないって思ってた。

だけどいざ永遠にあったら憎くて仕方ない。

呆然と立ち尽くす永遠の視線を感じながら俺は行くあてもなく歩く。





数日後、全部終わって、身寄りのない俺は施設を紹介されて、ああ本当に2人は死んだんだなって実感した。

初七日を向かえた夕暮れ、ここにいられるのも最後だと思って現場に向かった。