「お待たせ快、どこ行くの」
「繁華街の方に行ってみようかな」
「いいね、お店いっぱいあるから」
永遠と歩くといつも視線を感じる。
美人な永遠を見る男の目と、荒瀬組の目。
今日も振り返ると組員らしき男が後をつけてきている。
こういうところで、永遠は普通じゃないんだなと感じる。
でも永遠は気にしていないのか気づいていないのか分からないけど、話題にしたことないから俺も触れてない。
「母さん、最近夜勤が続いてすれ違いが多くてさ。
帰ってきた時にびっくりさせたいと思って」
「そうなんだ、そしたら何がいいかな」
永遠は繁華街の入口に立ち辺りを見回すと、近くにある花屋に目をつけた。
「あ、おうちでお花飾ってる?」
「いや、うちは飾ってないかな」
「だったら、お花をもらったら嬉しいと思う。
刹那が母の日に手作りのプリザーブドフラワーあげたら、お母さんあのやんちゃな刹那が……って泣いてた」
「確かに刹那が花をプレゼントするのは想像つかない」
「大切な人のためたら割とキザなことするんだよ」
「へえ、今度いじってやろう」
「ふふっ、どんな反応だったか教えてね」
笑いながらふたりで歩く時間が、どれだけ幸せか永遠は知らないと思う。
永遠は俺にとって、未来が見えないつらい現実を忘れさせてくれる“希望の光”だった。



