待ちに待ったホワイトデーの日。

私は快の住む家にお邪魔していた。

今日も桐谷は気を使って家にはいないらしい。

別にいいのにな、そう思いながら快との幸せな時間を過ごす。

今日は一緒にご飯を作ってゆっくり過ごす日。

ちなみにバレンタインの前日にもらったブラウニーの作り方も教えてくれた。



「おいしい、快のご飯が一番好き」

「力さん泣くぞ」

「そこはお母さんじゃないんだ」

「お母さん力さんに料理教わったんだろ?元祖お袋の味は力さんだ」

「……確かに」



好きな人と他愛のない話ができる。

たったそれだけで幸せになれてずっと口角が上がりっぱなし。

ご飯を食べたらふたりで映画を見るんだ。

桐谷の趣味でプロジェクターが置いてあるから大画面で映画が見られるんだって。

ご飯を食べて後片付けをして映画を見るための準備を進める。

準備が整った快は私をスクリーンの前のソファに呼んだ。

座ると、なぜか快は緊張した様子。