狼姫と野獣

「やっぱり後ろめたいか。仕方ねえ、一肌脱いでやるよ」



煮えきらず返答を迷っていると今度は意地の悪い笑顔を作る。

……なんだ、嫌な予感。

すると立ち上がりゆっくり近づいてくる。

俺は正座のまま見上げて動けなかった。



「それじゃ……歯食いしばれ」



やっぱり殴られる、そう思った瞬間衝撃を受けて視点が急に変わった。

痺れたような痛みが左頬に走ってビンタされたと感じた。

……早すぎだろ。元々ガードするつもりなかったけど見えなかった。

平手打ちでこの威力?グーだったら死んでた。



「一発食らっときゃ罰を受けた気になって気分も晴れるだろ?
拳じゃなかっただけありがたく思え」

「……はい」



けど当然の報いだ。あれだけ永遠を苦しませたんだから。

正直、平手打ち一発じゃ足りないよな。



「お前、これからどうすんだ」

「大学に進学する予定です」

「へえ、桐谷グループのコネか」



いつの間にか元の位置に戻った彼はニヒルに笑う。

やっぱり俺のことも全部知ってる……。