狼姫と野獣

「じゃあ、荒瀬組は全く関係なかったってこと?」

「……ああ」

「……だってさ、快」



近くにいた桐谷は快に目配せする。

快は少しうつむきがちに目を泳がせ、しばらくして決心したように顔を上げた。



「そんなのどうでもいい」

「お前、まだそんなこと言って……!」

「それをもっと早く聞いてたって変わらねえよ。
どう足掻いても永遠が好きだった。
この気持ちに変わりはない」

「は?」

「とりあえず今から逢いに行く」

「……え?」



意味がわからず唖然とする俺を置いて快は外に向かう。

あれ、めっちゃ素直じゃん。

一悶着あると思って構えてたんだけど。



「あれ、刹那ってもしかして知らなかった?」

「何を?」

「あいつら仲直りしてるよ。この前チューしたって」

「はぁぁ!?」



永遠、俺そこまで仲良くなってるなんて知らねえんだけど。

言えよ、姉弟じゃん。



「灯台もと暗しってやつだな〜」

「俺に言えよ、永遠……」

「はは、おもしれーもん見れたからいいや」

「お前ほんと性格悪いな」

「お互い様だろ」



力が抜けてしゃがみこむと桐谷は楽しそうに笑う。

バカにされてる気がして顔を上げたら桐谷はすげえいい笑顔で笑ってた。

なんだよ、拍子抜けするな。

なんかもやもやしたけど、俺も釣られて笑った。