「お母さん、心配でここにいらっしゃったんですよね。
約束します、これからは永遠を傷つけないって」



お母さんは快の目を見つめる。そして口元にゆっくり笑みを携えた。



「……男に二言はないからね?」

「はい」

「永遠のことよろしくね。それじゃあまた。
……力さん、出して」




その声とともに車は発進する。

私は驚いてしばらくお母さんに声をかけられなかった。


だって黒帝の人間をお母さんが認めた。

これは異例とも言っていい事態だから。

お母さんは昔から黒帝を毛嫌いしていた。

暴走族に好印象を持つ人なんてそもそも少ないと思うけど、お母さんはそうじゃなくて。

形容しがたいけど、嫌な思い出があるんだろうとなんとなく感じてた。



「好青年で拍子抜けしちゃった、野獣なんて言うから構えてたのに」

「え……うん」

「急に来てびっくりしたでしょ?私がどうしてもって言って力さんに連れてきてもらったの」



力さん可哀想……後で絶対お父さんに怒られるよ。

でも、お母さんがあまりにも優しい顔で笑うから私は何も言えなかった。

家族にも心配かけてたから、やっとお母さんに笑ってもらえて嬉しい。

認められたことにほっとして助手席でこっそり泣いた。