狼姫と野獣

「誰から?」

「……お母さんだ」



さすがの快もお母さんと聞いて気まずそうな顔をする。

暴走族のトップも極道の姐さんには勝てないよね。



「なんて?」

「そろそろ19時だけど大丈夫?って」

「門限何時だっけ」

「19時……連絡するの忘れてた」



楽しい時間ってあっという間に過ぎるからすっかり忘れてた。

たまたま力さんからメッセージが来てたから返信したらついでに迎えに来てくれるらしい。



「ならそろそろ帰る準備しよう」

「……うん」



快はソファから離れて私のバックを持ってくる。

ふーん、あんなに甘ったるい雰囲気を醸し出してたくせに切り替えられるんだ。

経験の差に少しショック。

すると突然、おでこを指で小突かれた。



「物欲しそうな目すんなよ、我慢できなくなる」

「快に言われたくない」



快だって瞳の奥の熱が覚めてないの分かってるよ。

するとわざと怖い顔をして本心が悟られないようにする快。

少し不器用で、でもそんなところが可愛くて愛おしくてたまらない。

我慢できなくてそんな顔しないで、と笑顔で抱きついた。