狼姫と野獣

少し緊張気味にご飯を食べ終えて洗い物をする。

永遠は客なんだからいいよって言ってくれたけど一旦落ち着くために無理やりキッチンに立った。



「次はホワイトデーかなあ」

「何が?」



洗い物を終えて快が座るソファの横に腰を下ろす。

呟くと快はすぐ話題を広げてくれた。



「快のご飯食べられるの」

「なんで?イベントごとじゃなくてもいつでも作るけど」

「それじゃ快の負担にならない?」

「今まで永遠にかけてきた心労に比べればなんてことない」

「それはお互い様だよ」



そう言うと快はまるで針に刺されたみたいに苦しそうな顔をして黙ってしまった。

ああ違う、そんな顔させたくないのに。



「だからそういうの関係なく、次はバレンタインのお返しに快にご飯作ってもらいたくて」

「関係ないわけねえだろ」



気を使ったはずの言葉を追求されて、選択肢を間違えたって反省した。



「4年間も永遠を苦しませた。突き放すためにひどいこと言って永遠を傷つけた。
それを関係ないなんて言うなよ。俺は……」



快の言葉が止まる。

なぜって私が自分から唇を重ねたから。

言葉で伝えるより行動した方が早いと思った。



「何、してんだよ」

「……嫌だった?」

「だから、そういうのずるいって」



初めて私にキスした時と同じセリフを使ってみる。

動揺する快がかわいくて笑うと、次の瞬間ぐわんと視点が揺れた。

腹部に重みを受けて、気がつくと目の前には馬乗りになった快が。

あれ、押し倒された?