ちらほら雪が降る日だった。

私は快が住むマンションに二度目の訪問をした。

正確には桐谷の家だからふたりきりになれないけど、快に会えるだけで私には十分だ。

息を整えて玄関の扉を開ける。

すると、快は玄関まで出迎えてくれていた。



「……会いたかった」



あれ、おかしいな。

笑顔でお邪魔しますって言うつもりだったのに。

快の顔を見た瞬間に涙が込み上げてきた。

今日は楽しい日にしたいから泣きたくない。

それなのに涙が零れてしまって私はあわてて手で顔を隠した。



「今までごめん」



玄関のドアがパタンと閉まると同時に快は優しく私を抱きしめてくれた。

いきなり泣くなんて迷惑じゃない？

顔を上げると快も泣きそうな顔をしてた。

なんだ、私たちお互い様だったみたい。