狼姫と野獣




今年の正月はひと味違う。

なぜって荒瀬組として向かう初詣に琥珀が一緒に行くらしい。

振袖姿の琥珀、絶対見たい。

そう思った私はお母さんの着付けを志願した。



「……私も、着なきゃダメですか?」

「当たり前よ、初詣だしせっかくだからみんなでお着物で行きましょうよ」



空いてる和室の部屋で先にお母さんの着付けを手伝う。

だけど後から来た琥珀は乗り気じゃないみたい。



「着物は……似合わないから着たくないんです」

「琥珀が着たらお兄ちゃん絶対喜ぶのに」



自信なさげな琥珀を励ましたくて思ってることをあえて声に出す。

琥珀は美人だから似合うに決まってるじゃん。

それとも何か嫌な思い出があるのかな。

そうだとしたら無理に着て欲しいとは言えないな。

と、その時襖が勢いよく開かれて誰か入ってきた。



「あーら初めまして!あなたが噂の絆の彼女ね!
やだ美人すぎない!?やりがいあるわぁ!」



やる気満々で入ってきたのは涼さん。

涼さん、今年も元気いっぱいだ。

部屋の温度が上がってなんだか私も元気になった気がする。



「おっと、自己紹介がまだだったね、あたしは(りょう)よ!
荒瀬颯馬の妻で倖真と涼風の母です、よろしく」

「あ……よろしくお願いします、中嶋琥珀です」



パワフルに挨拶した涼さんは琥珀に近づいて顔を合わせる。



「着物が嫌って?
そうね胸がおっきいと着物似合わないもんね」

「いやそっちじゃなくて……」

「東洋人顔じゃないから合わないって悩んでるの?
バカねえ、その人にあった生地を選べば似合うわよ」



涼さんが笑うと琥珀の表情が変わった。

……たった一言で前向きにさせるなんて。

すごい、私もこんな風になれたらな。

やっぱり涼さんは私の目標だ。