狼姫と野獣

ふう、と息をついて快に話しかける。



「びっくりした?唯の彼氏があの人で」

「びっくりしたっつーか、世間って狭いなと思ったよ」



快の横顔はずいぶん穏やかだ。

面影はあまり残っていないけど、中学生時代の快を思い出す。

徐々に本当の快が戻ってきてる気がして嬉しい。



「あ、あのね。髪のことなんだけど」

「ああ、本当に悪いことした」

「そうじゃなくて!……その、似合ってるって言ってくれた方が嬉しい」



勇気を出して口を開く。

チラッと顔を見ると快は驚いて目を丸くしていた。


「……髪の長い永遠しか知らないから新鮮で、かわいいと思う。俺は結構好き」

「似合ってるの一言でよかったのに……」

「嫌だったか?」

「違う、逆だから大丈夫……」


『かわいい』とか『好き』とか、飢えていた言葉をまともに食らって赤面する。

油断してた。そうだよ、快って本来素直で優しい人なんだから。