狼姫と野獣

「けどなんかワケありっぽい」

「ワケありとは?」



刹那は腕を組んで少し悪い顔をする。



「たぶんだけど、こっち側の人間だよ」

「裏社会の人ってこと?」

「うん、あの目の感じはカタギじゃない。
悪い感じはしなかったけど相当頭切れそう」

「無意識にそういう分析しちゃう所、お父さんそっくりだね」

「やめろよこれ以上父さんに似てたまるかって感じなのに」

「ほぅ、だったら誰に似たらよかったんだ?」



廊下の方から聞こえた声に私たちはビクッと肩をすくめる。

……今の声、お父さんだよね。

振り返るとお父さんが扉にもたれかかって笑っている。

だけど目が全然笑ってないから刹那は身震いした。

あーあ、ツイてないね刹那。