「お待たせ、刹那出かけたから大丈夫だよ」

『全然待ってねえよ、刹那またじいちゃんち行ったの?』

「そうそう、なんだかんだおじいちゃん好きなんだよね」



相手は快。

刹那には嘘をついたけど実は快とは普通に連絡をとってる。

これはお父さんと考えた一種のカモフラージュ。

半グレの目を欺くために興味無いふりした方がいいって。

どこに裏切り者がいるか分からないから。

刹那にまで嘘つくのはどうかと思うけど巻き込みたくないからそうしてる。

結果、案外バレてないみたい。

バレたらその時はちゃんと言おうと思うけど。



『すごいよな刹那、怖いもの知らずって言うか』

「うん、カリスマ性あるよね。どの分野でも成功しそう。
私はそうはいかないから真面目に大学行ってちゃんと働くつもり」

『永遠、どこの大学行くんだ?』



志望校を伝えると快は『あー、あそこか』と呟く。



「快は大学行くの?」

『桐谷が大学行くから俺もそうしようかなって。たぶん永遠と同じ志望校』

「勉強、大丈夫?」

『ん?バカにしてる?』

「だってちゃんと高校行ってないでしょ?」

『出席はしてるから大丈夫。先生の中に黒帝のOBいるからテストどこが出るか教えて貰ってるし』

「それずるくない?」

『違う違う、後輩の特権ってやつ』



電話の向こうでニヤッと笑う快の姿を想像して笑う。

安心した、快も将来のこと考えてるんだ。