11月、私は刹那から衝撃の話を聞かされた。



「そういや、絆に彼女できたっぽい」



両親が外出中でふたりきりの食卓。

刹那は信じられないことを言ってきた。

……お兄ちゃんに、カノジョ?

若頭になってから女の人とっかえひっかえだったお兄ちゃんに彼女!?



「……え?カノジョ?あの女遊びが激しいお兄ちゃんに?」

「うん、俺も正直まだ信じてないけど、なんか本当っぽい」



刹那の気持ちはよくわかる。

ストレスを性欲で発散してたお兄ちゃんが特定の人を作るなんて思ってもなかった。

よかった、ようやく落ち着いたんだ。



「ふぅん、本当なら安心だな。私、お兄ちゃんの女たらしな所だけは嫌いだもん。
思ったより早く落ち着いてくれてよかった」

「ああ、永遠も早く落ち着いたらいいな」



不意にその話を振られて動きを止める。

どういう顔すればいいか分かんないからそのまま残りのご飯を口に運んで立ち上がる。



「………もう無理だよ、諦めたから。ごちそうさま」


刹那と目を合わせないまま食器を持ってキッチンへ。

自分の分だけ洗って自分の部屋に向かう。

数分後、玄関の扉が開く音がした。

……出かけたかな。

刹那の気配が無くなったのを確認して私は電話をかけた。