部屋を出て階段を降りたら後ろから追いかけてくる足音が。

振り返ると桐谷だった。



「下のやつら勘違いしてっかもしれないから送ってく」

「……どーも」



わざわざ近づいてくるなんて珍しい。

桐谷は俺に苦手意識があるわけじゃないってこと?



「桐谷、お前どうすんの?」

「どうするって何を?」

「永遠のこと」



こいつの考えてることよく分かんねえ。

試しに質問してみたら「あー……」と気まずそうな顔をして前を見た。


「快から奪うつもりはねえよ。あいつらどう見ても相思相愛じゃん。入る隙ねえもん」

「遠慮なんてしねえでとっちゃえば?」

「は?マージで性格悪いな刹那。
遠慮してるわけじゃない。俺もバカじゃねーし」

「ふーん、優しいんだ桐谷って」

「うるせー」



桐谷がうざったそうに呟いたところで倉庫からちょうど外に出た。

なーんだ、こいつ昔まじでデリカシーない奴だったのに変わったな。

それとも快のそばにいたから変わったのか。


「じゃ、俺はこれで」


帰り際、桐谷に向けて手を差し出した。

桐谷は意図が読み取れず首を傾げる。


「俺、ヤクザには絶対ならねえから大人になったらよろしく」

「刹那の人生面白そうだから期待しとく」


ろくでもねえ暴走族って色眼鏡で見てたけど、ここに来て歩み寄る気になった。

初めて握手をした桐谷の手はあたたかかった。