狼姫と野獣

「俺、刹那キライ」

「俺もお前きらーい」

「……やっぱお前ら似てるな」



ガキみたいな言い合いしてると間に入ってきた声。

そっちを見ると快が歩いてきていた。

へえ、この前よりだいぶ落ち着いてんじゃん。

今日は殴り合わないで済みそう。


「似てねえし、俺の方が頭いいから」

「なんで刹那張り合うの?俺に対抗心燃やしてどうすんだよ」



不思議そうな桐谷は置いといて快と向かい合う。

はー、こいつまた背伸びたな。190くらいあんじゃね?



「で、刹那は何しに来たんだ」

「聞いた?あの話」

「……上に来い」



人間観察は置いといて本題に入る。

あの話、と言っただけで快は顔色を変えて俺を幹部部屋に招く。

ふぅん、不安にさせないようにみんなには共有してねえわけね。

野獣だ何だ言われつつ、やっぱ快は優しいんだな。



「刹那、今日お前が来たのは百鬼の元総長が殺された件についてだろ?」

「やっぱある程度知ってんだ。さすが東日本トップのチームの総長やってるだけあんね」



先日、東京湾で死体が見つかった。

調べたらそいつは永遠を襲った族の総長らしい。

大方、永遠を誘拐しようと思って失敗したから消されたってところだな。