狼姫と野獣

バイクに乗って目的地に向かう。

ヤクザの息子がひとりで行動なんて、と心配されることも多いけどヘルメットかぶりゃ誰が誰かわかんねーし。

通ってる高校はバイク禁止だけどバレなきゃいいやって感じ。



「なあ、快いる?」

「あぁん?てめえ誰だ……よ」



着いた場所は黒帝のたまり場。

倉庫前にいた中坊くらいのガキに話しかけたら目を丸くして一目散に倉庫内に走っていく。



「ねえ、いるのいねえのどっちー?」

「あっ、桐谷さん!ま、また荒瀬刹那です!」



バイク停めて追いかけたらそいつが中にいる奴にチクってた。

って、桐谷?



「えー?今度は何?俺らなんもしてねえけど」

「やっほー桐谷、元気してる?」



近づいて笑いかけたらすっげー嫌そうな顔された。

一時俺の追っかけしてたくせに何その反応ウケる。



「……刹那ってどっちが素なの?」

「どっちも俺〜」

「刹那って二重人格なんだ。怖〜」

「桐谷こそ暴走族のくせにいい子ちゃんぶって怖〜」



笑いながらお互い牽制。

なんでかこいつとは馬が合わない。

桐谷はため息をつきながら目を細める。