狼姫と野獣

side 刹那


日曜の昼間、出かけようとして玄関で靴を履いた。

そしたら悪寒がしたから振り返る。



「おい刹那」

「げっ、父さん……」



予想が的中して背後に父さんが立ってた。

もうなんだよ、俺だってヒマじゃねえからダル絡みやめて欲しいんだけど。



「お前黒帝の総長とタイマン張ったらしいじゃねえか」

「えー、なんで知ってんの?」



親父が裏社会のトップだと情報回るの速すぎて嫌気がさす。

父さん半グレ問題でそれどころじゃねえじゃん。



「だったら何?」

「ケンカには勝ったんだろうな?」

「え……」



いい歳してケンカなんてしてんじゃねえよ、こう言われる気がして構えてたのに、予想外すぎて言葉が出てこなかった。



「単独で乗り込んで負けましたなんて示しがつかねえだろ、どうなんだ」

「はは、勝ったに決まってんだろ。俺を誰だと思ってんの?」

「そうか、ならいい。
今朝壱華に刹那がケンカしたらしいから叱ってって言われたけど勝ったなら俺は叱らねえ」



あー、母さん絡みね。道理で忙しいくせに変なこと聞いてくると思った。



「とりあえず壱華にはお灸据えられたって言っとけ」

「はいはい、りょーかいでーす」



適当に返事をして玄関の外に出る。

ったく母さん関係だと行動が早ぇんだから。