狼姫と野獣

「は?なんで刹那?」



予想が外れた。

俺も快もてっきり百鬼の残党だと思ってたから顔を見合わせる。

なんで刹那が?あいつが乗り込んでくるなんて考えもしなかった。


「止めようとしたんですけど下にいるヤツらほぼ一発でやられちゃって……」



マジ?あいつケンカ強いのかよ。



「相手の要求は?」

「快さんに会わせろ、って」

「……分かった、すぐ行く」



半信半疑で部屋を出て階段を下りる。

下を見て目を疑った。

広い倉庫にうめつくされたのは地面に突っ伏す仲間たち。

中央には気絶して伸びてるヤツの背中に座る刹那が。

……これが刹那?なんだよその目つき。別人じゃねえかよ。



「よっ、快。元気してる?」



服装は乱れてないけど頬には返り血。

無論その目は笑っていなかった。

不気味で得体の知れない化け物が目の前にいた。