狼姫と野獣

「永遠!」


私は立ち上がって走り出した。

部屋を出て倉庫内を走り抜けて出口を目指す。

怪我をした足が痛い。潮風にさらされる頬がヒリヒリ痛む。


「永遠、いったん落ち着け」


あと少しで出られる、そう思った時強く腕を掴まれた。

振り返るとそこにいたのは桐谷だった。

立ち止まると堰を切ったように涙がこぼれる。

せっかく我慢してたのに。


「こない、で……もう、帰るから」

「そんなに泣いてんのに放っておけるかよ!こっち見ろって」


拒む私に痺れを切らしたように大きな声を上げる桐谷。

腕を引かれ、よろけた私は桐谷の胸に飛び込んだ。

慌てて離れようとしたら背中に手を回され抱きしめられた。

……何してんの、桐谷。

びっくりして嗚咽が止まる。


「おかしいだろ、快に苦しめられてんのにまだ快のこと好きなんて。俺ならそんなこと……」



今日の桐谷、なんだかおかしい。

今日と言うより、最近ずっとおかしかったかも。

何かと世話を焼いて今日だってすごく心配してくれた。

それにその言い方だとまるで私のこと好きみたい。




「俺じゃ快の代わりになれない?」