狼姫と野獣

「あーあ、結構血出てんじゃん。
……顔も引っぱたかれた?」


黒帝の倉庫について、桐谷は幹部部屋で私の傷の手当をしてくれた。

頬の傷を見た桐谷は湿布と保冷剤持ってくる、と部屋の外に出た。

……もうなにがなんだか分からない。

なんで私が狙われたの?

あんな直接的な殺意を向けられたのは久々だった。

怖かった、暴走族の世界ってこんなに怖いものなんだ。

守られてばかりの私にはそれがまるで分かってなかった。

しばらくして部屋のドアが開く。

桐谷かな、と顔を上げたらそこにいるのは快だった。


「……あ?」

低い怒りの声、いつもと違う目付き。
ああ私、やっぱり“今日は”ここに来ちゃダメだったんだ。