「2人ともおかえり」



リビングに入ったらお母さんが出迎えてくれた。

いつも笑顔で、美人で綺麗な自慢のお母さん。

長い黒髪をひとつに結んで、エプロン姿でキッチンに立っているだけなのにドラマのワンシーンみたい。

それにキッチンからいい匂いがして幸せな気分になる。



「……今日は唐揚げか、いいな」



お父さんはキッチンに向かって、盛り付けてあるお皿に手を伸ばしてパクッとひとつ唐揚げを食べてしまった。



「こら、つまみ食いしないの!」



当然怒られたけどお父さんはケロッとしている。

むしろ悪びれもしないでお母さんに後ろから抱きついた。



「壱華に早く会いたくて昼飯食い損ねたからいいだろ」

「え?お昼ごはんくらいゆっくり食べたらよかったのに」

「だから、それだけ会いたかったってこと」



両親は昔から距離が近い。

小さい時からそうだから慣れっ子だけど、仲のいいお母さんたちを見ると笑ってしまう。



「ふふっ……」

「なーに笑ってんの、永遠」

「だって、お父さんとお母さんが仲良いと私も嬉しい」

「は?昔からあんなのだろ?何、今さら」



刹那には意味わかんないって顔されたけど、お父さんは優しい顔で笑いかけてくれる。



「永遠は素直でかわいいな」



すると「だってわたしの娘ですから」と自慢げのお母さん。

ああ、認めてくれる人がいるって幸せだな。

普通ではないけど、私はこの家族が大好き。