狼姫と野獣

快は私を見たとたんため息をついた。

……今日は虫の居所が悪いみたい。



「……なんで来るんだよ。頼むからもう俺に関わるな」

「そんな寂しい目をしてるのに放っておけるわけないでしょ」



目を細めて怪訝な顔をする快。

怖いけど、私だって引いてばかりじゃいられないから覚悟を決めてここに来た。

すると快は部屋の奥に移動してソファに腰を下ろす。



「あん時は燈が邪魔して言えなかったけど……」



あの時、とはいつのことだろう。



「あの日の質問、答えてやるよ」



だけどそう言われ思い出した。

1年前、確かに私はここで快に聞いた。

『私がヤクザの娘じゃなかったら今でも仲良くしてくれてた?』って。



「お前が荒瀬の人間じゃなけりゃこうはならなかった」

「……知ってる」



そう言うと快は黙って私を睨んだ。



「でもその“もしも”は叶わないから、これからの私を見てよ」

「……」

「快、好きだよ」