翌週、力さんに誘われて黒帝の倉庫に行くことにした。

なんでも桐谷にお古のバイクをあげたいらしい。

力さん大好きな桐谷は泣いて喜びそう。



「意外だったな〜力さんああいうタイプ苦手そうなのに」

「最初はうざったかったけど、最近の若ェのにしては芯があっておもしれえやつだよあいつ」

「そっか、それ言ったら喜ぶと思う」



それにしても桐谷も人を取り込むの上手だよね。

快にカリスマ性があるって言ってたけど桐谷もすごいと思う。

女子に対してデリカシーがないのは玉にキズだけど。



「言ったら調子乗りそうだから絶対言わねェけど。
まあいいや、着いたぞ」

「うん、ありがとう力さん」



車を降りると待っていたかのように黒帝のメンバーが揃って頭を下げる。

力さんは慣れっこみたいで「燈いるか?」と聞いたら幹部部屋にいると言われたのでそっちに行くことに。

すると扉が閉まる大きな音がして幹部部屋から桐谷が出てきた。



「ど、どうしたんですか力さん!」

「燈、この前話してたコレお前に渡そうと思って」



力さんの手元に光るのはバイクのカギ。

桐谷は急いで階段から駆け下りてきた。



「マジでいいんですか!?先代から受け継いだ大事なものなのに」

「だからこそ受け継いでいくべきだ。
一応言っとくが維持費バカになんねーぞ」



桐谷は「金なんて関係ありません!」と鍵を受け取って大喜び。

はしゃぐ彼らを横目に私はこっそり幹部部屋の扉を開ける。

すると目の前に様子見に来ようとしていた快の姿があった。