「何、どうしたの永遠変な顔して」

「なんでもないよ」

「嘘つけ絶対あんじゃん。どーせ快だろ?進展あったわけ?」

「いや違うけど」

「違うんかい」


姉弟間ですら変化に敏感な刹那は最近『雅狼』って呼ばれてるらしい。

『優雅な印象を与えて懐柔させて、最終的には牙を向いて支配する狼』

本家に入った新しい組員たちが刹那のことをそう呼んだのがはじまり。

みーんな刹那に騙されて今じゃすっかり懐柔されてる。

刹那は人を操ることに長けてる。だからおじいちゃんは刹那をヤクザの組長にしたいんだって。


「カリスマ性があるのも大変だね」

「は?なんの話?」

「ううん、こっちの話」


でも『雅狼』って響きかっこいいな。

理由を知らない人たちは響きがかっこいいから、って広めてる理由も頷ける。

刹那は「ふぅん」と言いながらソファにどかっと座って一息つく。

しかしすぐに姿勢を正して私の方に体を向けた。