狼姫と野獣

「ま、冗談はさておき。
心配してくれてありがと、今回の抗争のこと力さんに聞いた?」

「ううん、刹那から聞いた」

「へえ、やっぱ興味なくてもそういうとこはちゃんと情報回ってんだ。
……聞いたかもしんねえけど今回の百鬼(ひゃっき)ってチームさぁ、女に暴行したり薬やったりすっげぇタチ悪いんだよ」

「それは、聞いてなかった」

「だから刹那も心配したんじゃね?」

「刹那はバックに半グレがいるからって言ってた」

「あー、そっちか」


そこで会話が途切れて桐谷はフラッとコンビニに入っていく。

会話終了ってこと?相変わらず掴めないヤツ。

しかし数分後戻ってきて「これあげる」とアイスを買ってきた。

受け取ると桐谷はバリバリ袋を開けて中のアイスバーにかぶりつく。

シャーベットの咀嚼音(そしゃくおん)がなぜだか心地いい。


「快ってさ、不安定なんだよ」


シャク、もうひと口かじりながら桐谷は呟いた。