狼姫と野獣

宣言通り翌日の日曜日は唯と2人っきりでデートした。

いっぱい食べていっぱい歩いて、解散したのは19時を過ぎた頃。

ちょっと遅くなっちゃったな、そう思いながら実家に電話をして車の手配をする。

目当てになる建物で待ち合わせって言われたから近くのコンビニまで歩くことに。


「……あれ」


ふと、頬を撫でた風からは海の匂いがした。

そういえばここ、黒帝のたまり場の近くだっけ。

港の近くの空き倉庫。そこには快がいる。

まあ、刹那に釘を刺されたばかりだから会いに行ったりしないけど。


「やば、すっげえ美人」


その時、前方から声が聞こえた。

驚いて顔を上げるとコンビニの前でたむろってる不良が3人。

うわ、最悪。Uターンしよう。


「どこ行くの?ごめん俺ら邪魔だったね」

「この辺危ないから明るいところまで送ってくよ」


しかしその内のふたりがしつこく付きまとってきた。

大丈夫ですと言うために顔を上げた時、その人の格好が気になった。

黒いツナギみたいな服にほどこされた刺繍。

“十七代目黒帝”。

もしかしてこの人たち、黒帝なのかな。

だとしたら話通じるかも。


「えっと……黒帝のメンバー?」

「そうそう、俺らのこと知ってんの!?」

「お前らどけ!こいつ誰だと思ってんだよ」


嬉しそうに反応したその人が詰め寄ってきた瞬間、後ろから声がした。