「抜け出すって……買い物に行ってるだけなんだけど」

「壱華自ら行く必要ねえよ、そんなの下っ端にやらせろ」

「分かってないなぁ志勇、自分で選ぶからこそ楽しいのに」

「だったらせめて俺連れてけ」

「うーん、志勇は目立つからなぁ」

「お父さん、話脱線してるよ」


すーぐイチャイチャし出す両親にストップをかけて話を戻す。

わざと頬を膨らませたら「ああ、悪いな」とお父さんはすぐ謝って腕を組んだ。


「ぶっちゃけ今回はあいつらを左遷するために留守にしたようなもんだ。
悪かったな永遠、今まで嫌な思いさせて」

「ううん、いいことあったから大丈夫」

「いいこと?」

「ふふ、秘密」


あの夜のことが楽しくて笑ったらお父さんは目を細めて「ふぅん」と呟いた。


「あ、力さん使って詮索しないでね?」

「……さぁな」

「ふふ、反応が鈍った。志勇バレちゃってたね」


詮索する気満々のお父さんはお母さんに笑われてる。

お父さんは「かわいい娘が不良になったらどうすんだ」と心配してるみたい。


「本物の不良が何言ってるの」


しかしお母さんにつっこまれてムッと口をとがらせる。

その表情が刹那そっくりでやっぱり親子だなってほっこりした。