狼姫と野獣

「ふふ、幸せ」


あんなに暗い気持ちだったのに快の作ったオムライスはそれを吹き飛ばしてくれた。

気づかないうちに独り言を呟いたことに気がついて顔を上げる。

ところが目の前に座る快は呆然としていて、私と目を合わすと顔を背けて立ち上がった。


「あれれ、快ちゃんさっきの俺みてえ」

「ぶっ飛ばすぞ」

「なんだよおっかねえな」


桐谷がちょっかいをかけるのも無理はない。

だって快が照れたように顔を赤くしたから。

……ねえ快、それってどういう感情?

諦めきれなくなるから期待させるのはやめてよ。


「あーあ、永遠って罪な女」

「……はい?」

「モテるっしょ、永遠」

「そうかな、でも彼氏いないよ」

「へえ……快、だってさ〜よかったね」


桐谷はキッチンにいる快に向かって声を張る。


「明日ピーマンの肉詰めだからな」

「はあ!?この鬼!」


快は顔を見せなかったけど怒ってる感じじゃなかった。

なにそれ、期待していいってこと?