狼姫と野獣

「暴走族?物騒だな」



そしてきっと快にも縁のない世界だと思う。

快は優しくて真面目だもん。



「ゴミの掃き溜めみたいなもんだよ。
……おっと、こんなこといったら力さんに怒られるから黙っとこ」

「なんで力さん?」

「力さん、OBなんだよ黒帝の」

「え、あの真面目な力さんが!?」

「荒瀬って割と暴走族やってた人多いらしいよ。
そんだけガッツがないとヤクザなんてやってられねえし」

「なるほど」



でも、意外と真面目そうな人ほど裏があるのかな?

なんて考えながら駐車場に停まっている車に乗り込む。

今日の送迎係は力さんじゃなかった。



「快、送ってくよ」

「大丈夫、俺バイトあるから」

「そっか、頑張って。じゃあまた明日」



進み出した車の窓から刹那が身を乗り出して、校門付近にいた快に声をかけた。

でも大丈夫と言われたから手を振って窓を閉める。

……快、バイトしてるんだ。

校則でバイトは禁止なのに、快もなかなかの不良では?なんて思ってしまった。

一見真面目そうな人が実は不良って、一理あるのかも。