狼姫と野獣

「いい、俺が抱えておく」

「……え?」

「家まで送る」


街灯の下、私の泣き顔を確認した快は信じられない言葉を口にした。

聞き間違いじゃない、よね。


「なん、で」

「俺の勝手だろ」


ぽろぽろこぼれる涙。それは悲しくて悔しくて流れたはずなのに、いつのまにか驚き混じりの嬉し涙に変わっていた。


「……泣いてるのに突き放すのはさすがに後味が悪い」


本音をこぼした快はやっぱり昔と変わってないって確信した。

私のこと気遣ってくれてほんの少し歩み寄れた気がして嬉しかった。


「だからもう泣くな」

「……うん」


ぶっきらぼうな言葉。だけど普通に会話できることにさえ私には嬉しくて仕方ない。

泣きながら前を歩く快の後ろ姿を追う。


「また、背伸びた?」

「伸びてねえよ」

「そっか」


話しかけたら返事をしてくれる。

たったそれだけが嬉しくて。

1年以上会ってなかったのに私はまだ快のこと大好きなんだって痛感した。