K氏のクリスマス

 言わなかったが、K氏が帰ったあと、店のオーナー夫婦はいつものようにこっそり顔を見合わせてため息をついた。

「あの人もいつまで続けるんだろうね。ねえあなた」
「さあな。わからないね」
「四人分の七面鳥とケーキなんて」
「まあいいじゃないか。私たちにとっては大切なお客さんだよ」
「それはそうだけど」
「さて、余計な詮索をしている暇はないよ。ありがたいことに注文がいっぱいなんだから」
「・・・そうね」