クール王子の素顔




私、坂下ゆおは友達の高崎恵(たかさきめぐみ)と中部佐紀の話を黙って聞いていた。


正直、誰の話をしているのかさっぱりわからずにいる。


「だれ?その人」


「ええええっ、知らないの!?いくら恋愛に無頓着だからって言っても!」


私がぽつりと尋ねると、佐紀ちゃんはカッと目を開いて私の肩を揺さぶってくる。


「ええー、ほんとに知らないんだもん……」


どうやら、佐紀ちゃんも諦めてくれたようで私の肩から手を放して、ぶつぶつつぶやいている。


「あれ?そういやゆお、筆箱は?」


恵ちゃんがいうまで気づかなかった、けど、私はいつもどこか抜けていて、すぐ忘れものをしたり、こけちゃったりする。


「忘れちゃった、取りに行ってくるね、授業送れちゃったら悪いから、先行ってて!」


そういって走り出したつかの間、私は大きな図体とぶつかってしまった。


「きゃっ」


体に重たい衝撃が来ることを身構えていたのに、そのかわりにふわっと甘い香りが鼻を覆った。


「えっ」


驚いて見上げると、長いまつげ、アーモンド形の目に、薄い色っぽい唇、きれいで白い肌、少し色の抜けた茶色の髪のイケメンと目が合った。


「ご、ごめんなさいっ。」


「いーえ。大丈夫ですか?」


そのイケメンは優しく微笑んで返してくれた。


イケメンとか、そんなに興味ないって思っていた私でもドキッとしてしまった。


イケメンって怖い……。


「ちょ、ちょっと、ゆお!その人がさっき話してた人だよ!!」


興奮した声で佐紀ちゃんが話しかけてくれた声でやっと止まっていた時が再開し始めた。
「さっきの…、あっ、伊緒くんっていう人ですか?」


そう私が尋ねると、その伊緒ってひとはまた微笑んだ


「はい、俺の話してたんですか?」


「あ、助けてくれてありがとうございました。急いでるんで、失礼します」


あまり、こういう人と絡むといい出来事が起きる気がしない。


女関係とか、面倒くさそうだから、早く立ち去ろうとしたとき、佐紀ちゃんが


「えー、ゆお!もったいないよ!!せっかくだから連絡先でも交換してもらおうよー」


なんていう。佐紀ちゃんはイケメン好きだ。


街中でもイケメンをみつけたらすぐに声をかけに行こうとする。


可愛いのにちょっと残念なくらいっていうか、でもそういうところも含めてすきだ。


「私はいいよ、はやく筆箱取ってくるし。」


そういって、何とか逃れられたと思った瞬間だった。