桜の通う学校は、小学校から大学までエスカレーター式になっている学校だった。要するにクラスメートたちは小学校から大学までずっと一緒ということだ。そのため、初等科から始まったいじめは、高等科に入学してからも続いた。

「ごめんなさい。ごめんなさい」

そう言い、暴力を受け続けた桜だったが、ある日プツンと糸が切れてしまった。そして何も考えないまま屋上から飛び降り、救急車で病院に運ばれた。

桜は死ぬつもりだった。何もないただ暗いだけの人生に生きるのに疲れ、絶望しているのだから。死ぬことが一番の逃げ道。解放される。そう信じて疑わなかった。

しかし、神様は恐ろしいほど残酷だ。桜は助かってしまった。目を覚ました時、絶望し、大声を上げて泣いた。そんな桜のそばにいてくれたのは、両親ではなく親戚だった。

「ごめんね、助けてあげられなくて……。あの二人、桜ちゃんを放ったらかしにずっとしてたなんて知らなくて……」