幸せな人生の生き方

それに手をこうして握っていると温もりも伝わっていくよね。

「これが生きてるって証だと思う」

桃はそう言って笑いかける。しかし、桜には桃が何を伝えたいのかがわからない。首を傾げ、恐る恐る訊ねる。

「ご、ごめんなさい……その……どういう意味で……」

「ああ、伝わりにくいよね。ごめん」

桜は、「こんなこともわからないの?」と馬鹿にされないことに驚く。桃はニコニコと笑ったまま言った。

「えっとね、すぐには難しいかもしれないけど、あたしたちを信頼してほしいなって……」

優しく手を握られながら言われ、桜の胸がドキッと高鳴る。初めての温もりに戸惑ってしまう。それでも、ずっとこの温もりにされていたいと思っている。

生まれて初めて、桜は人を信じてみたいと思った。



豪華な食事で歓迎され、桜はこのシェアハウスの新しい一員となった。そして、それから始まった日々は桜にとって胸が温かくなる毎日だった。

学校は通信制のものに転入したため、桜をいじめていたクラスメートたちはいない。ゆっくりと初めて勉強することができた。