「な、なんっ⁉︎」

「そうそう! 抱き起こすとまぶたが上がるお人形さんでね、まさに今のあなたみたいな感じなのよ」

(それはさぞ、不細工なお人形さんだったのでしょうね⁉︎)

「うふふ。わたくし、あなたのことをすっかり気に入ってしまいましたわ。もう手放せそうにありません。できれば、穏便に侍女になってくれると良いのですけれど……」

(はぁぁぁぁ⁈ 急に怖いこと言うのやめてくれません⁉︎)

 ギョッとした顔のまま王女を見つめるピケの頭を、ノージーがよしよしと撫でる。
 今更ご機嫌取りかと睨み付けるが、彼は「意味がわからないな〜」とわざとらしいまでに清々しい笑みを浮かべていた。

(ぐぬぅぅぅぅ!)

 もはや、逃げ道なんてない。
 もともと道なんてなかったのだと自身へ言い聞かせながら、ピケは「謹んでお仕えさせていただきます」と答えるほかなかった。