だって、どうしろというのか。
 ノージーはピケの気持ちを知っているのに獣人のまま。
 両思いになれば、獣人は人族になるはずなのに。

(まさか私の気持ちが勘違いで、だからそのままだっていうの?)

 ノージーが好きだ。
 この先もずっと、一緒に生きていきたいと思っている。
 今までずっと一緒で、もう彼なしの人生なんて想像もつかない。
 その気持ちに嘘偽りはないのに、勘違いだというのだろうか。

 今にも泣きそうにくしゃりと顔を歪めたピケの頰を、ノージーの手が優しく撫ぜる。
 あたたかな手のひらに縋るように、ピケは頰を押し当てた。

(この気持ちは、勘違いなんかじゃない)

 断言できる。
 この気持ちが勘違いだと言うならば、ピケが知りうるすべての好きも勘違いだ。
 ちょっと離れただけで不安になって、失ったらと考えるだけで気が狂いそうになるような激情は、勘違いなんかで片付けられるものではない。