『もう諦めろ、ちっぽけな毛玉。早く私のおなかに収まってしまえ』

 ギャアギャアとカラスは笑う。
 意地悪カラスめ、とノージーは文句を言いたかったが、喉をつつかれていたので声が出なかった。

 カラスは、ノージーを食べるつもりのようだ。
 魔獣しか生きられない魔の森において、母親とはぐれ、食べるものにありつけない子猫は、格好の餌食なのだろう。

 ノージーは、すでに三回もカラスの鋭いくちばしでつつかれて、瀕死(ひんし)の状態だった。
 フワフワの長い毛は、今や血で濡れてべったりと張り付いている。
 得意の魔術も、子猫の姿では十分に使うことができなかった。

『もう、終わりなのかな……』