「今日もここで大丈夫です。」


駅に近い公園の前に停車してもらう。


ありがとうございました、と頭を下げて、車を降りた。
いつもならすぐに走り去る車は、今日はそこにとどまったままだ。


「今連絡が入りまして、カーディガンをお忘れになっていると。受け取ってきますので、お待ちになってください。」


車から出てきた下田さんは私にそう告げるなり来た道を戻っていった。


カーディガンは無くても困らない。
次の時に受け取ります、と言おうかと思ったがやめた。


丁寧に洗濯され大事に保管されることが目に見えている。
そんなことをされるよりだったら自分で持ち帰った方がいい。


公園の前に立っているのもおかしいので、中にあるベンチまで足を進める。