午後6時半。
大学生で混みあうJRの公園口を、繁華街のほうに歩くには障害物競走のノリが必要で。
例によってガキんちょふたりは、どんなに混んだ道もふたり並んですいすい歩いて行く。
「あ、ごめんなさい」
わたしばっかりひとにぶつかられるのは、なぜなのよ。
わたしはちゃんと避けてるのに。
女子がぶつかってくる率、ハンパないんですけど?
「姉貴、なにやってるの」
二紀が振り向いて唇をとがらせる。
見たらわかるでしょ、歩いてるのよ。
し、か、た、な、く!
『姉貴がいてくんなきゃ、だめなの』
『そうですよ。イチローさんも行きましょうよ』って。
強引にわたしのスポーツバッグを取りあげたのはあなたたちでしょ。
荷物を持ってくれるスマート男子だなんて、金輪際、思わないからね。
わたしのバッグは人質だ。そうでしょ?
「あーあ」
誕生日ねぇ……。
誕生日くらい、カノジョと遊べばいいのに。
なんで二紀なのよ。
「びーえる?」
聞こえないと思ってつぶやいたのに。
大学生で混みあうJRの公園口を、繁華街のほうに歩くには障害物競走のノリが必要で。
例によってガキんちょふたりは、どんなに混んだ道もふたり並んですいすい歩いて行く。
「あ、ごめんなさい」
わたしばっかりひとにぶつかられるのは、なぜなのよ。
わたしはちゃんと避けてるのに。
女子がぶつかってくる率、ハンパないんですけど?
「姉貴、なにやってるの」
二紀が振り向いて唇をとがらせる。
見たらわかるでしょ、歩いてるのよ。
し、か、た、な、く!
『姉貴がいてくんなきゃ、だめなの』
『そうですよ。イチローさんも行きましょうよ』って。
強引にわたしのスポーツバッグを取りあげたのはあなたたちでしょ。
荷物を持ってくれるスマート男子だなんて、金輪際、思わないからね。
わたしのバッグは人質だ。そうでしょ?
「あーあ」
誕生日ねぇ……。
誕生日くらい、カノジョと遊べばいいのに。
なんで二紀なのよ。
「びーえる?」
聞こえないと思ってつぶやいたのに。