2学期末の試験が終わったとたん、わたしにはつらい苦しいキャプテンの仕事が待っていた。
 合宿の練習予定表を今日中に益子先生に出さなきゃならない。
『頼むよぉぉ』っていう小松の子犬みたいな目に負けて。
 結局、練習中だっていうのに、わたしはひとり、計画表とタイトルだけを書いたリポート用紙とにらみあうはめになったけど。
 部室の窓が切り取る小さな四角い青空が、あんまりキレイだったから。
 わたしは今、体育館の裏で、ひなたぼっこを決めこんでいるわけで。


 隣接しているのが民家前の公設道路なので、きれいに整備されてはいるけど、がらんとなにもない体育館の裏は、だれが置いたのかわからない古いプラスティックのベンチが1台あるだけのオアシスだ。
 体育館で練習をする部の、歴代のキャプテンに受け継がれる、ひとりで泣ける、ひとりで悩める場所。
 わたしも美香キャプテンと結城先輩につれられて、小松と来るまで裏側にまわってみようなんて思いもしなかったから、知らなかった。
 ふたりにつれてこられると、申し訳ない妄想もわいたけど、それは許してもらいたいな。
 だって本当に気持ちがいい場所なんだもん。
 ひとりで怠惰をむさぼるダメなキャプテンはわたしぐらいだろうけどね。