ユリアは少しこそばゆそうに、目を細くして私を見上げていた。
「オーバーですわ。……あの? 尻尾はよろしいんですの?」
頬を染めたユリアが遠慮がちに問う。
「今日はその櫃もあるからね、これで十分だ。尻尾は次回のお楽しみにとっておくことにする」
「では、次回を楽しみにしておりますわ。それからヴィヴィアン様、『困った時は必ず力になる』という先のお言葉、とても嬉しかった……」
ユリアは台詞の後半でスッと目線を落とし、顔を俯かせてしまう。
……ユリア?
「ヴィヴィアン様、荷物をどうもありがとう! 約束を忘れないでくださいませ。ごきげんよう!」
ユリアの様子が気になった。だけど私が続きの言葉を発するよりもひと足先に彼女はくるりと背中を向けて、皇太后様の居室の方向に足早に行ってしまった。
……やはり、皇太后様の女官仕事に苦労があるのかもしれない。今度、会った時に詳しく聞いてみよう。
そう思い直し、私も大急ぎで午前の仕事に取り掛かった。
その日の午後。
「こちらが嘆願書になります。陛下にお渡ししてください」
「オーバーですわ。……あの? 尻尾はよろしいんですの?」
頬を染めたユリアが遠慮がちに問う。
「今日はその櫃もあるからね、これで十分だ。尻尾は次回のお楽しみにとっておくことにする」
「では、次回を楽しみにしておりますわ。それからヴィヴィアン様、『困った時は必ず力になる』という先のお言葉、とても嬉しかった……」
ユリアは台詞の後半でスッと目線を落とし、顔を俯かせてしまう。
……ユリア?
「ヴィヴィアン様、荷物をどうもありがとう! 約束を忘れないでくださいませ。ごきげんよう!」
ユリアの様子が気になった。だけど私が続きの言葉を発するよりもひと足先に彼女はくるりと背中を向けて、皇太后様の居室の方向に足早に行ってしまった。
……やはり、皇太后様の女官仕事に苦労があるのかもしれない。今度、会った時に詳しく聞いてみよう。
そう思い直し、私も大急ぎで午前の仕事に取り掛かった。
その日の午後。
「こちらが嘆願書になります。陛下にお渡ししてください」



