獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!

「お前とのお茶より優先すべきものなどあるわけがない。すぐに用意させる。三人で茶にしよう」
「わぁい! 僕、兄様のお部屋がいいな!」
 案の定、マクシミリアン様は秒殺でオチた。ついでにマクシミリアン様の上機嫌を反映し、その尻尾もハミル殿下の尻尾に負けず劣らずの勢いでパタパタと揺れていた。
 ……おお! 兄弟の尻尾のパタパタの共演!
 これは、なんという眼福――!
 さらに恐れ多いことに、私もお茶会のメンバーに入っているようだ。もしかするとマクシミリアン様に避けられているのかな、なんて思っていたから「三人で」と当たり前のように言ってもらえたことは嬉しかった。
 しかもお茶会の発案者は、ケモ耳と尻尾がついたとびきりキュートな皇子様。
 くぅううっっ。なんという眼福! 豪華メンバーによるお茶会に、心が躍った。
「よし、では俺の部屋で茶会といこう」
 マクシミリアン様はハミル殿下の栗色の髪をわしゃわしゃっと撫でると、廊下の端に控える侍従に早速指示を出す。
 侍従はスッと一礼し、足早に厨房の方向に歩いていった。