「もちろんです! 一年前に国境の町で両国トップ会談が開かれた時は、国中がお祭り騒ぎになりましたから!」
近隣諸国と融和的な関係を築いてきた我が国だが、唯一アンジュバーン王国とだけは冷戦状態が続いていた。近年は武力衝突こそなかったが、二百年近く国交は閉ざされたままだった。
先代皇帝の父も、先々代の祖父もずっと交渉の門戸は開いていたのだが、彼の国がそれに応じることはなかった。
しかし俺が皇帝位に就くのとほぼ同時に、彼の国でも国王の代替わりがあった。それが転機となり、悲願だった交渉の席が実現したのだが……。
……ガブリエル。皇子時代に身分を隠して諸国を漫遊している折に出会い、意気投合した流れの楽団員。その正体がまさか、アンジュバーン王国の若き王子殿下だとは想像もしなかった。
一年前に国境の町で実現した両国トップ会談。頭に冠を載せて現れたガブリエルを見て、俺は動揺を隠せなかった。もっとも、奴の方も俺と似たり寄ったりの阿呆面を晒していたが。
「今日の朝議で、ガブリエル国王の我が国訪問が正式決定した」
「本当ですか!」
近隣諸国と融和的な関係を築いてきた我が国だが、唯一アンジュバーン王国とだけは冷戦状態が続いていた。近年は武力衝突こそなかったが、二百年近く国交は閉ざされたままだった。
先代皇帝の父も、先々代の祖父もずっと交渉の門戸は開いていたのだが、彼の国がそれに応じることはなかった。
しかし俺が皇帝位に就くのとほぼ同時に、彼の国でも国王の代替わりがあった。それが転機となり、悲願だった交渉の席が実現したのだが……。
……ガブリエル。皇子時代に身分を隠して諸国を漫遊している折に出会い、意気投合した流れの楽団員。その正体がまさか、アンジュバーン王国の若き王子殿下だとは想像もしなかった。
一年前に国境の町で実現した両国トップ会談。頭に冠を載せて現れたガブリエルを見て、俺は動揺を隠せなかった。もっとも、奴の方も俺と似たり寄ったりの阿呆面を晒していたが。
「今日の朝議で、ガブリエル国王の我が国訪問が正式決定した」
「本当ですか!」



