三百六十度どこから見ても隙のない美しすぎる造作に加え、前世の”男役”で培ったある種独特なキラキラ王子様オーラを放つ。ついでに生まれ持った物腰柔らかで大らかな気質も加わって、弱小貴族ながらこの界隈では向かうところ敵なし。耳と尻尾付きの高位貴族の青年たちを差し置いて女性からの結婚依頼が殺到し、十五歳にしてご近所の皆さんから「女性キラー」という異名で囁かれていたりする。
 これが現在の私だ。
 誤解がないようにひとつ注釈を入れると、私は深ーい理由があって十五年間男として生きてきて、戸籍上の性も男になっている。けれど、生物学上は女だ。
「……いや、ライフワークというのも違う気がするな。これはもう、男以外の何者でもないだろう!」
 先の呟きに自らツッコミと修正を入れ、アッハッハッと高笑いする私の姿はやはり、どこからどうみても男の子で間違いなかった。
「ぬぉおおお~っっ!!」
 うんっ!?
「おいたわしやぁ~。ぬあぁぁ~っ!! おいたわしやぁあ~っ」