獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが！

『ヴィヴィアン様、もし慣れない皇宮で分からないことやお困りのことなどありましたらなんでもおっしゃってくださいませ』
『そうですわ！　私たち、必ずヴィヴィアン様のお力になりますわ』
　幾つか会話を交わし、別れ際にはすっかり彼女たちと打ち解けていた。
『親切にありがとう、嬉しいよ。それから僕は今わかったよ。皇宮がかくも輝いているのは、君たち心優しいレディたちの頑張りのおかげだとね』
『『まぁ、ヴィヴィアン様～』』
『おっと、そろそろ午後の勤務の開始時刻だ。またね』
　彼女たちとはここで一旦別れたが、これ以降、顔を合わせる度に親しく会話を重ねてきた。時には昨日のように手紙をもらうこともあった。

　――意識が今へと戻る。
　まさか、彼女たちがファンクラブを結成していたなんて……！　こちらの世界でも私のファンクラブが出来ようとは思ってもみなかった。