「そんな、垂らし込むだなんて――」
「女に目を曇らせて業務に支障が出れば、即刻出て行ってもらう。そのつもりでいろ」
冷ややかな目をしたマクシミリアン様は私の言葉を割ってぞんざいに言い放ち、封筒を放り投げるように押し付けて扉を出ていってしまった。
「なんで女官に手紙をもらたからって、マクシミリアン様がそんなに不機嫌になるのよ?」
背中で毛を逆立たせて、不機嫌そうにバッタンバッタンと揺れる尻尾を見つめ、やるせなさに首を捻りながら呟いた。
でもビリビリと逆毛が立った不機嫌な尻尾は、ちょっと可愛いと思った。……へへっ。ぶっとい尻尾、いいよね。
この程度の行き違い(?)は日常茶飯事ですっかり慣れっこ。今さら凹む私ではないのだ。
この一週間ですっかり耐性を身に着けた私は、無意識にワキワキと手のひらを揉みながら、憤り半分、尻尾可愛さ半分で彼の尻尾の先っちょが曲がり角の向こうに消えるまで見送った。
あくる日。
「おい、ヴィヴィアン!」
衣裳部屋から遠く離れた廊下で、皇宮侍従の男性に呼び止められた。
「はい」
「女に目を曇らせて業務に支障が出れば、即刻出て行ってもらう。そのつもりでいろ」
冷ややかな目をしたマクシミリアン様は私の言葉を割ってぞんざいに言い放ち、封筒を放り投げるように押し付けて扉を出ていってしまった。
「なんで女官に手紙をもらたからって、マクシミリアン様がそんなに不機嫌になるのよ?」
背中で毛を逆立たせて、不機嫌そうにバッタンバッタンと揺れる尻尾を見つめ、やるせなさに首を捻りながら呟いた。
でもビリビリと逆毛が立った不機嫌な尻尾は、ちょっと可愛いと思った。……へへっ。ぶっとい尻尾、いいよね。
この程度の行き違い(?)は日常茶飯事ですっかり慣れっこ。今さら凹む私ではないのだ。
この一週間ですっかり耐性を身に着けた私は、無意識にワキワキと手のひらを揉みながら、憤り半分、尻尾可愛さ半分で彼の尻尾の先っちょが曲がり角の向こうに消えるまで見送った。
あくる日。
「おい、ヴィヴィアン!」
衣裳部屋から遠く離れた廊下で、皇宮侍従の男性に呼び止められた。
「はい」



