獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!

 私はよく分からない感覚に蓋をして、ナイフとフォークを手に取ると艶やかな黄色が眩しいオムレツに狙いを定めた。


 皇宮にやって来て一週間が経った。
 ここまでマクシミリアン様との関係も近習の仕事も順調で、私は今日も朝議に行かれるマクシミリアン様の見送りに立っていた。
「いってらっしゃいませ」
「おい、なにかが落ちたぞ」
 お辞儀をしたら、マクシミリアン様が床を指差しながら声をあげた。
 ……え? マクシミリアン様の示す先を見ると、白と薄桃色の封筒が落ちていた。
「あ、すみません!」
 どうやら腰を折った拍子に、ポケットから押し出されてしまったようだ。
 私は拾おうとして慌てて床に手を伸ばすが、マクシミリアン様が一瞬早く拾い上げてしまう。
 マクシミリアン様は手の中の封筒をまじまじと見つめている。
「あ、あの! それは今朝方、女官の子たちからもらった手紙でして」
 一向に私に返そうとする素振りのないマクシミリアン様を訝しみつつ、やんわりと訴える。
「お前はさっそく女官らを垂らし込んでいるのか」