獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!

「は、はいっ!」
 空気を孕んで揺れるマントと、その下でゆらりゆらりと揺れるモコフワな尻尾を追いかけながら、胸にはこの方のために頑張ろうという前向きな決意に満ちていた。


「ヴィヴィアン、お前も座れ」
 食堂でマクシミリアン様から突然水を向けられた。
「いえ、僕はマクシミリアン様の謁見中に従業者用の食堂でいただくことになって――」
「構わん」
 断ろうとするが、マクシミリアン様は取り付く島もなく、給仕係に私の分の用意を言いつける。
「向かいにもう一名分、用意してくれ」
 え? 近習が皇帝陛下と一緒の食卓に着いちゃうって、いいの!?
 委縮して周囲をキョロキョロと見回すが、同席を咎めようとする者はいない。給仕係にも戸惑う様子はなく、指示通りマクシミリアン様の向かいの席に速やかにカトラリーを並べ始める。
「で、では失礼します」
 若干腰が引けつつ向かいの席に着けば、すぐに料理もひと揃い運ばれてくる。